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回復期リハビリテーション病棟に求められてきた機能
回復期リハビリテーション病棟は脳卒中や大腿骨近位部骨折・脊椎圧迫骨折などの急性期治療後に集中的なリハビリテーションを提供することにより「寝たきりを防止し,日常生活動作(activities of daily living;ADL)を向上し,在宅復帰を促進する」ことを目的として2000年4月から制度化された.各病棟にはデイルームや浴室の設置などハード面の整備が求められるとともに,医師(2000年当時),理学療法士,作業療法士を病棟専従配置として,医師をチームリーダーとするチームアプローチの実践が求められた.病床数は年々増加し,2019年には全国で8万5千床を超える病床が整備されている(図1).回復期リハビリテーション病棟制度開始当初は病床数の整備状況が少ないなかで脳卒中患者の比率が高かったが,近年は運動器疾患患者の増加により脳血管疾患の入院患者は約45%となっている(図2)1).また回復期リハビリテーション病棟では入院患者の高齢化が徐々に進んでおり,2018年では入院患者の約65%が75歳以上の高齢者であった(図3)1).
2008年度から診療報酬改定(以下,改定)にて回復期リハビリテーション病棟における「質の評価」が導入されさまざまな臨床指標の向上が求められた(表).2008年に導入されたのは「在宅復帰率60%」と「重度患者の受け入れと改善」である(2008年に医師の専従要件は廃止).患者の重症度評価には「日常生活機能評価」が用いられ10点以上が重度患者とされた.2010年度改定では個別リハビリテーションを1日最低2単位以上(平均)実施することが義務付けられ,休日加算,充実加算(1日平均6単位以上実施)により個別リハビリテーション提供量の増加が推進された.2012年度改定では看護師,療法士の配置,在宅復帰率が見直されるとともに看護必要度A項目が導入された.看護必要度A項目の導入は急性期病院からより早期の受け入れを促進するものであり,急性期病院の平均在院日数短縮化と併せて地域医療連携を推し進めるものであった.2014年度改定では医師・社会福祉士を専従とする体制強化加算が導入され,医師の専従要件が復活した.2016年度改定ではFunctional Independence Measure(FIM)利得と入院日数から算出する実績指数が導入され,実績指数27を満たしていない場合は個別リハビリテーション6単位以上が包括化されることとなった.
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