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■回復期リハビリテーション病棟の成立と経過
回復期リハビリテーション病棟制度は寝たきりの原因となりやすい脳血管疾患や大腿骨近位部骨折などで急性期病院での治療後,集中的にリハビリテーションを実施し,「ADLを向上し,寝たきりを防止し,在宅復帰を促進する」目的で2000年4月に介護保険制度と同時に施行された.介護保険制度はそれまで医療保険が対応していた高齢者の在宅介護や入院療養の部分を介護保険から提供することにより,医療と介護の機能分化を促し,社会保障費の財源を確保するものであったが,回復期リハビリテーション病棟は,それまでの急性期・慢性期という医療機能の間に新たに回復期という機能が加わることで医療機能の分化と連携を推進するものであり,後の地域医療構想にも大きな影響を与えた.回復期リハビリテーション病棟入院患者の中心である要介護高齢者は退院後に介護保険制度を利用する場合が多くなることから,回復期リハビリテーション病棟は医療と介護の連携を図る機能が求められているが,介護保険の理念である「リハビリテーション前置主義1)」を実践する場としての役割も担っていた.
回復期リハビリテーション病棟は,訓練室だけではなく,病棟でADL訓練が実践できるよう病棟に浴室や一定面積のデイルームを確保するなどのハード面の整備に加え,多職種協働のチームアプローチが図れるように医師,理学療法士,作業療法士を病棟専従配置とするなどのソフト面の基準が設けられたが,対象疾患も寝たきりの原因となりやすい疾患が規定され,入院患者の8割が対象疾患であることが要件となっている.対象疾患によって入院日数上限が設定されていることも大きな特徴であり,2022年度改定では心大血管などリハビリテーションも回復期リハビリテーション病棟の対象疾患として加えられた2).このように回復期リハビリテーション病棟は治療の目的,対象疾患,入院期間が規定されたリハビリテーション専門病棟である.
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