巻頭言
リハビリテーション医学・医療の変遷—新時代に向けて
久保 俊一
1,2
1日本リハビリテーション医学会
2京都府立医科大学
pp.303
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201913
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超高齢社会となった日本において,リハビリテーション医学・医療はほぼすべての診療科に関係する疾患,障害,病態を扱う領域になっている.しかも,疾患,障害,病態は複合的に絡み合い,その発症や増悪に加齢が関与している場合も少なくない.リハビリテーション医学・医療を取り巻く環境は急速に変化し果たす役割も大きくなっている.2020年代の初めにあたってリハビリテーション医学・医療・診療の変遷を考えてみたい.
Rehabilitationという言葉が医学的に使用され始めたのは,およそ100年前のことである.第一次世界大戦によって生じた膨大な数の戦傷者を,いかに社会に復帰させるかが大きな課題となった.この課題に応えるべく,米国では陸軍病院にphysical reconstruction and rehabilitationというdivisionが設けられた.これが最初の事例であるとされている.その時rehabilitationは医学的治療と並行して進めるものであるという位置づけであった.そして,第二次世界大戦でさらにその有用性が認められ,1949年,米国でAmerican board of physical medicine and rehabilitationとして独立し重要な診療科となった.
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