部活動中に筋肉内出血を生じた血友病B患者の1例—教育的介入を含めた理学療法士の役割

A case of hemophilia B patient who was injured intramuscular hemorrhage during club activities: role of physical therapist including educational intervention

要旨　【はじめに】筋肉内出血を生じた血友病B患者の理学療法を経験し，教育的介入を含めた理学療法士の役割について考察した．【症例】15歳男性，左内転筋筋肉内出血および左腓腹筋筋肉内出血の診断．日常生活動作（activities of daily living；ADL）はおおむね自立していたが，跛行あり．血友病に対する知識不足が目立ち，出血に対するリスク管理が不十分であった．【目標】① 関節可動域（range of motion；ROM）や筋力などの身体機能と跛行の改善，② 出血時の対処法や運動方法を教育し，疾患管理の自立を図る，この2点を目標とし理学療法を行った．【経過】臨床所見や医師，看護師など他職種との連携を取り，リスク管理を徹底することで，出血することなく安全に身体機能および跛行の改善を図ることができ，退院時にはジョギングも可能となった．また，運動療法に関する教育は，パンフレット導入により理解が深まり，自己管理下で安全な運動実施が可能となった．【結語】理学療法士による運動療法およびその教育は，血友病に伴う筋肉内出血患者において身体機能の改善，知識の習得に有効であった．