Japanese
English
症例報告
左側頭葉後下部病変による失読失書例の漢字書字過程の分析
Analysis of the kanji writing process of the alexia with agraphia following left posterior inferior temporal lobe infarction.
池野 雅裕
1
,
宮崎 泰広
2
,
福永 真哉
1
,
種村 純
1
Masahiro Ikeno
1
,
Yasuhiro Miyazaki
2
,
Shinya Fukunaga
1
,
Jun Tanemura
1
1川崎医療福祉大学感覚矯正学科
2関西電力病院リハビリテーション科
1Department of Sensory Sciences, Kawasaki University of Medical Welfare
2Department of Rehabilitation, Kansai Electric Power Hospital
キーワード:
失読失書
,
誤反応分析
,
言語処理過程
,
頻度効果
Keyword:
失読失書
,
誤反応分析
,
言語処理過程
,
頻度効果
pp.271-275
発行日 2020年3月10日
Published Date 2020/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201904
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要旨 左側頭葉後下部損傷により漢字の失読失書を呈した症例に対して,漢字単語の書き取り課題を施行し,誤反応の特徴から書字障害について検討した.症例は60歳台女性で,左側頭葉後下部の皮質下出血により漢字の失読失書を呈した.本例に漢字2文字で構成される250語の書き取り課題を施行した.結果の正答率は57.6%で,誤答の内訳は形態性錯書6.0%,同音異字7.6%,1文字誤答10.8%,無反応18.0%であった.書き取りの正誤では漢字単語の文字使用頻度の効果を認めた.また同音異字の誤答漢字は目標漢字に比べ漢字1文字の使用頻度が高い漢字であった.以上の結果から,漢字の書き取りにおいて書字的表象を単語と1文字レベルの2段階に仮定した言語処理モデルで説明でき,左側頭葉後下部損傷例では単語レベルの書字的表象が主に障害されることが示された.
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