連載 リハビリテーション医療に必要な薬物治療・第12回
不眠症の治療
内山 真
1
Makoto Uchiyama
1
1日本大学医学部精神医学系
キーワード:
睡眠困難
,
不眠
,
不眠症
,
薬物療法
,
生活指導
Keyword:
睡眠困難
,
不眠
,
不眠症
,
薬物療法
,
生活指導
pp.75-78
発行日 2020年1月10日
Published Date 2020/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201856
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不眠症とは
不眠症は,適切な時間帯に床で過ごす時間が確保されているにもかかわらず,入眠困難,睡眠維持困難(中途覚醒),早朝覚醒など良く眠ることが困難で,これによって日中に生活の質(quality of life;QOL)の低下がみられる睡眠障害である.Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder(DSM)-5では,夜間の睡眠困難があり,そのために臨床的意味のある苦痛や機能障害からQOL的低下が生じている状態が,1週間に3夜以上,3か月持続するものとして定義される.わが国の一般成人において,睡眠困難の頻度は20%,不眠症の頻度は10%,睡眠薬使用者は5%であり,おおむね先進国の平均的レベルにある.
夜間の睡眠困難があると休養感が得られず,身体的・精神的な不調感が生じる.このため,QOLの全般的な向上という面から夜間睡眠困難への適切な対応が重要である.さらに慢性的に睡眠困難があると生活習慣病やうつ病のリスク要因となることが明らかにされている.
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