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第1土曜特集 不眠症──研究・診療の最新知識
不眠関連疾患
不安関連疾患と不眠
Anxiety-related disorders and insomnia
吉池 卓也
1
Takuya YOSHIIKE
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
キーワード:
不安症
,
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
,
不眠
,
不眠症
Keyword:
不安症
,
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
,
不眠
,
不眠症
pp.986-990
発行日 2022年6月4日
Published Date 2022/6/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28110986
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パニック症(PD),社交不安症,全般性不安症(GAD),限局性恐怖症などの不安症群に,心的外傷後ストレス障害(PTSD),強迫症を加えた不安関連疾患には過度で持続的な恐怖・不安とともに,恐怖学習障害および恐怖回路障害が共通して見出される.不安関連疾患には不眠症状から慢性不眠症に至るさまざまな不眠表現型が高率に出現し,不安関連疾患の臨床転帰を損ない,疾病負荷を高める因子となる.不安関連疾患と不眠の関連機序として,恐怖/不安回路の持続的な過活動が覚醒系を促進し,睡眠中枢を抑制して不眠をもたらすと推測される.不安関連疾患は不眠の準備因子,誘発因子,遷延因子のいずれとしても作用し,不眠の慢性化を促すのみならず睡眠断片化,レム睡眠圧亢進といった生理学的変化をもたらしうる.不安関連疾患に併存する不眠は単に不安関連疾患の部分症状とは限らず,不眠に特化した治療の併用が臨床転帰や生活の質を改善する可能性を念頭に診療にあたることが望ましい.
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