巻頭言
高齢者運転を考える
小林 康孝
1
1福井総合病院リハビリテーション科
pp.1157
発行日 2019年12月10日
Published Date 2019/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201814
- 有料閲覧
- 文献概要
高齢ドライバーによる交通事故問題が連日のように報道されており,被害に遭われた方々やそのご家族の気持ちを考えると心が痛む.そのような状況に対して,政府も高齢ドライバーによる交通事故防止対策に本格的に取り組んでおり,現在,70〜74歳のドライバーに「高齢者講習」,75歳以上には併せて「認知機能検査」を免許更新時に義務づけている.また,一定の違反行為を犯した75歳以上に「臨時認知機能検査」を行うこととなっている.
しかし,これらの対策で果たして交通事故は減るだろうか.そもそも,高齢ドライバーの事故報道に隠れてはいるものの,若年者の事故も後を絶たない.免許保有者10万人あたりの第1当事者としての死亡事故件数は,確かに85歳以上で16.27件と最も高いが,次いで高いのは16〜19歳の11.43件である.「高齢者運転は危険である」という報道に世論が引っ張られている部分もあるのではないか.実際,高齢ではないドライバーによるあおり運転に伴う痛ましい事故の報道も記憶に新しい.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.