特集 高齢者「主治医」事典
【高齢者の生活と診療】
運転免許証―高齢者における運転適性の判断
上村 直人
1
,
大石 りさ
2
,
池田 学
3
1高知大学神経精神科学教室
2一陽病院老年精神科
3熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学
キーワード:
認知症
,
運転
,
免許制度
,
道路交通法
,
善管注意義務
Keyword:
認知症
,
運転
,
免許制度
,
道路交通法
,
善管注意義務
pp.849-852
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102994
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Case
無免許で運転を続けるアルツハイマー病患者
患者:75歳,男性.生活圏に公共交通機関はほとんどない.元公務員.趣味:農業.
既往歴:特記事項なし.
現病歴:数年前から物忘れが目立ち,運転中に行き先を忘れることがあった.半年前から同じことを何度も繰り返したり,接触事故を頻回に起こし,認知症が疑われ,A大学病院の物忘れ外来を受診した.MMSE 23/30でエピソード記憶障害を認めた.頭部MRIで両側海馬と頭頂葉萎縮を認め,臨床経過からアルツハイマー病と診断し,塩酸ドネペジルを処方した.その後も頻回に接触事故を起こすため,本人,家族の同意のもと,公安委員会に診断書提出を行い,免許を停止した.しかしながら初診6カ月後,免許停止を忘れてしまい,家族が鍵をつけたままにしていた車を運転し,自損事故を起こした.
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