Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「トスカーナの幸せレシピ」—アスペルガー症候群の若者が料理をとおして「程々」という中間の世界を認識する
二通 諭
1
1札幌学院大学
pp.1131
発行日 2019年11月10日
Published Date 2019/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201803
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「トスカーナの幸せレシピ」(監督/フランチェスコ・ファラスキ)は,トスカーナ州若手料理人コンテストで決勝戦に勝ち残ったアスペルガー症候群当事者・グイドと,彼にとっては料理の師匠である刑務所帰りのアルトゥーロが織りなす新しい自分づくりの物語.
グイドは,冗談,隠喩,曖昧表現の理解に困難がある.顕著な感覚過敏があり,触られることを拒絶し,たとえば特定の化学物質が使用されたホテルの部屋に滞在することができず,車中泊となる.ただし,相手によっては自分から抱きつく.また,ほんの少しの味見で,使われている食材やスパイスをすべて言い当てることができる「神の舌」の持ち主である.このことがグイドを優れた料理人に押し上げる.
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