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はじめに
本邦における小児がんの患者数は年間約2,500人と推計され,成人がんに比し少なく,希少がんと位置付けられている.小児がんの中でも19歳までの血液がん,主に白血病およびリンパ腫の占める割合は高く,0〜14歳で白血病は38%,脳腫瘍16%,悪性リンパ腫9%であり,15〜19歳も1位と3位は血液がんで,その割合は37%と高くなっている.
医学医療の進歩により血液がんの治療成績は向上し,特に急性リンパ性白血病では80%が長期生存を得られるようになった.「小児白血病・リンパ腫の診療ガイドライン2007年版」により,標準化された治療を医療者のみならず患者家族にも提示することが可能となり,個々の治療の経過や予後の見通しを立てることが以前より容易になった.がんの治療にはさまざまな医療職種がかかわるが,近年チーム医療としてリハビリテーション関連の職種も積極的にがん治療に携わるようになった.
リハビリテーションは小児血液がんの治療(化学療法,放射線療法,髄注,造血細胞移植など)により起こる合併症の予防や改善を目的としているが,小児の場合では,発達障害やダウン症候群など発達遅滞を有する症例に応じた対応を求められる場合もある.理学療法士,作業療法士,言語療法士による訓練のみならず主診療科の医師,看護師,心理士,保育士との連携を行うことで,より効果的なリハビリテーションの提供が可能となる.
小児特有の問題として小児血液がんの患者の多くは成長発達途上にあるため,疾患そのものによる影響および治療による晩期合併症が治療中・治療後の日常生活動作(activities of daily living;ADL)や復学などを含めた社会復帰に影響するため,治療中のみならず治療後のフォロー体制が重要となる.
本稿では小児血液がんのリハビリテーションの総論をまず記した後に症例を提示することとする.
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