特集 血液疾患ブラッシュアップ
【スペシャル・アーティクル】
高齢者血液悪性腫瘍と輸血
西 智弘
1
1川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター
キーワード:
血液がん
,
輸血
,
在宅ホスピス
,
緩和ケア
Keyword:
血液がん
,
輸血
,
在宅ホスピス
,
緩和ケア
pp.234-237
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102781
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Case
輸血に対する倫理的問題が生じた骨髄異型性症候群からの二次性白血病の1例
患者:78歳,男性.
現病歴:もともと2型糖尿病にてかかりつけの方.汎血球減少を認め,精査にて骨髄異形成症候群と診断.その後血液内科にて経過観察中に,白血球800/μl,Hb 7.0g/dl血小板1.3×104/μlと汎血球減少の急激な増悪を認め入院.白血病転化と診断され,アザシチジンなど使用し経過をみていたが,病状コントロールは困難であり,呼吸器感染も合併しBest Supportive Careの方針となった.本人は輸血を続けつつ在宅を希望されたが,家族は在宅受け入れ困難とし,「もう長いこと頑張ってきたから」と輸血も中止することを希望した.
医学的には,予後が短い状況で輸血の意義も問われたところから,一時,家族の意向に沿い輸血を中止する方向に議論が流れかけたが,がんサポートチーム(緩和ケアチーム)が介入し倫理的問題を指摘した.結果,再度家族との話しあいで,本人の意向に沿って輸血が実施され,その後病院にて永眠された.
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