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疫学
国立がん研究センターがん情報サービスの最新の統計を参照すると,小児から思春期・若年成人(adolescent and young adult;AYA)世代のがん種の内訳は図1のようになっている1).2009〜2011年の小児がん(0〜14歳)の罹患率(粗罹患率)は12.3(人口10万人あたり)で,AYA世代にかけてのがん罹患率は,15〜19歳で14.2,20歳台で31.1,30歳台で91.1(人口10万人あたり)である.これらの罹患率を日本全体の人口に当てはめると,1年間にがんと診断される数は小児(0〜14歳)で約2,100例,15〜19歳で約900例,20歳台で約4,200例,30歳台で約16,300例と推計される1).悪性骨・軟部腫瘍は稀ながんであり,悪性骨腫瘍に関してみると全がん種に対する割合は小児期(0〜14歳)で3.7%,15〜19歳ではその割合が最大となり,9.5%を占める.
わが国における骨・軟部腫瘍の発生,診断と治療の実態を明らかにすることを目的として実施されている全国疫学調査として,日本整形外科学会骨・軟部腫瘍委員会から発刊している全国骨腫瘍登録一覧表がある2).現在の最新版である2015年度を参照すると,2006〜2015年の間に登録された骨腫瘍総数は38,196例で,そのうち原発性骨腫瘍が17,640例,続発性骨腫瘍が10,924例,骨腫瘍類似疾患は8,295例であった.良性骨腫瘍は12,002例,悪性骨腫瘍は5,489例であるが,0〜19歳の良性骨腫瘍は4,068例(33.9%),0〜19歳の悪性骨腫瘍は1,098例(20.0%)であった(図2).良性骨腫瘍としては,骨軟骨腫,類骨骨腫や内軟骨腫,軟骨芽細胞腫が多く,悪性骨腫瘍では骨肉腫やユーイング肉腫が多い.0〜19歳の続発性骨腫瘍ではがん骨転移24例,横紋筋肉腫や神経芽細胞腫などの肉腫骨転移19例と非常に少ない.単発性骨囊腫や非骨化性線維腫,線維性骨異形成などの骨腫瘍類似疾患は0〜19歳では4,755例(57.3%)と半数以上を占める.
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