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はじめに
脳卒中後の摂食嚥下障害は高率に認められ日常生活動作(activities of daily living;ADL)や生活の質(quality of life;QOL)を損ねるだけでなく,退院後の生活場所を決定するうえでも重要な問題である.「脳卒中治療ガイドライン2015」1)では,入院直後から嚥下機能のスクリーニング検査,さらには嚥下造影検査(videofluoroscopic examination of swallowing;VF),内視鏡検査(videoscopic evaluation of swallowing;VE)などを適切に行い,栄養摂取経路や食形態を検討し,多職種で連携して包括的な介入を行うことを推奨している(グレードA).つまり,摂食嚥下障害のリハビリテーションの成功のためには,退院後の生活を見据え,早期から質の高い専門職の介入と多職種連携によるチームアプローチが重要といえる.また,一般的に摂食嚥下障害の改善は長期を要することも多く,途切れることのないリハビリテーション支援が重要といえる.
一方,1980年代半ばからの医療制度改革により,医療は急性期・回復期・生活期に大きく分断された.急性期は在院日数の短縮が求められリハビリテーションのかかわりは短くなり,回復期は時間をかけてリハビリテーションを提供できるがゴールの中核はADL向上と在宅復帰.生活期は医療よりも介護が主体となってしまっている.現在の分断された医学的リハビリテーションでは,摂食嚥下障害を有する患者を,急性期から生活期まで一貫してフォローアップすることが難しい状況になっている.
今回,相澤病院(以下,当院)の摂食嚥下障害に対する取り組みを概説し,退院後のかかわりについて症例を通して紹介する.
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