Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「生きてるだけで,愛。」—鬱・過眠症に苛まれる女性の生活困難を描く
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.183
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201566
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筆者は,発達障害や精神的な困難を抱える青年・子供への教育的支援の現役プレイヤーである.支援において構築すべき課題は,周囲の適切な理解と対応,本人の工夫と努力である.すなわち,理解・対応・工夫・努力によって生きづらさが軽減されるという観点から,対話(聴き取り)と必要な支えを入れるという実践に取り組んできた.ただし,筆者が一定の熱量をもって対応したとしても思うほどに好転しない,すなわち人的・物的条件を整え,対話を重ねても,筆者の実感からすると「自滅」としか言いようがない道にはまり込んでしまう場合があり,新たな支援方略や本人の自己内闘争が課題となる.
「生きてるだけで,愛。」(脚本・監督/関根光才)における板垣寧子(趣里)は,鬱で過眠症である.支援しようとしている周囲の側の視点に立つなら自滅型だが,本人の視点に立つなら周囲の自分への理解が不足しているということになる.
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