Japanese
English
入門講座 感覚障害とリハビリテーション・5
感覚障害としての痛み—慢性疼痛
Pain as the sensory disturbance:chronic pain
松原 貴子
1,2
,
井上 雅之
2,3
,
城 由起子
2,4
,
下 和弘
2,3
Takako Matsubara
1,2
,
Masayuki Inoue
2,3
,
Yukiko Shiro
2,4
,
Kazuhiro Shimo
2,3
1神戸学院大学総合リハビリテーション学部理学療法学科
2愛知医科大学学際的痛みセンター
3愛知医科大学運動療育センター
4名古屋学院大学リハビリテーション学部理学療法学科
1Department of Physical Therapy, Faculty of Rehabilitation, Kobe Gakuin University
2Multidisciplinary Pain Center, Aichi Medical University
3Institute of Physical Fitness, Sports Medicine and Rehabilitation, Aichi Medical University
4Department of Physical Therapy, Faculty of Rehabilitation, Nagoya Gakuin University
キーワード:
痛み
,
慢性疼痛
,
包括的評価
,
運動療法
,
教育
Keyword:
痛み
,
慢性疼痛
,
包括的評価
,
運動療法
,
教育
pp.1173-1181
発行日 2018年12月10日
Published Date 2018/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201502
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痛みの基礎
1.痛みとは1,2)
痛みは誰もが体験する感覚であり,体性感覚のなかの痛覚に分類される.つまり,生理的(正常)な情報であり,生体を守るために必須の警告信号である.痛みには,このような正常感覚としての側面と,一方で感覚障害として生じる病態としての側面がある.本稿では,痛みに関する正しい知見を整理し紹介する.
痛みとは,「実質的あるいは潜在的な組織損傷に結びつく,あるいはそのような損傷を表す言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である」と定義されている〔国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain;IASP)1979〕.痛みは,欧米においては古くから,一感覚というだけでなく情動・認知的側面を包む多面性を有する情報系として捉えられてきた.数十年の遅れを経て,本邦でも,ようやくそうした認識や知見,評価,治療指針などが周知されるようになってきた.
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