書評
澤村誠志 編著「地域リハビリテーションと私」
上田 敏
1
1日本障害者リハビリテーション協会
pp.1084
発行日 2018年11月10日
Published Date 2018/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201478
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名著『切断と義肢』(医歯薬出版)の著者であり,日本の切断者リハビリテーションの第一人者,関西リハビリテーション界の重鎮である澤村誠志氏を中心に,山口 昇,大田仁史,米満弘之,浜村明徳,石川 誠,等々10人を越す著名な方々が,地域リハビリテーション,地域包括ケア,義肢装具学会,ISPO(国際義肢装具協会)等々について書き,かつ語り合った興味深い本である.
本書の興味深い特徴は,ほとんどの方々が,「自分がどうしてこの道に入ったか」から語りおこしておられる点である.たとえば澤村氏がこの道に入ったのは,父君が阪神電車の車掌をしていた19歳の時に,あやまってレールの上に転落し,下腿を5cmの短断端で轢断されたことが大きかったという.父君は大変な勉強家であり,澤村義肢製作所を興し,多くの切断者の心の支えとなった.その志を継いで,さらに大きく(全国的,かつ国際的にまで)発展させたのが澤村氏というわけである.氏の,若くしての,「苦学」のアメリカ留学,ライフワークである兵庫県立総合リハビリテーションセンターの建設と育成,アジア・東欧・北欧・西欧・北米27か国の37か所のリハビリテーションセンターと義肢装具研究所を訪ね歩く3か月の「貧乏旅行」(駅に寝泊まりまでしたという!)など興味は尽きない.
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