書評
澤村誠志 監修―地域リハビリテーション白書'93
隅田 俊子
1
1佐久総合病院
pp.704
発行日 1993年8月10日
Published Date 1993/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107428
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
第29回日本リハビリテーション医学会総会(澤村誠志会長)のメインテーマに地域リハビリテーションが選ばれ,全国で活動する医師を含めた多くの職種の方々から発表があった.いまだかつて経験したことのない高齢化社会に突入した日本で,医療・保健・福祉が連携しての包括的,継続的な対応策が必要であると叫ばれて久しい.しかしながら第一線の現場で働くわれわれは,かけ声としての連携はあっても,現行の縦割り行政の中で,この連携の実現の難しさを日々思い知らされている.第29回学会に参加し,そして本書を読むと,実に多くの専門家が,それぞれの立場からさまざまな取り組みを続けていることがわかる.同時に,学会長であり,本書の監修・編集をなさった澤村誠志先生の地域リハビリテーションに対する深い洞察と熱き思いを感じる.この多くの人達の努力と実践を知ると,かけ声ばかりで何もできはしないなどと文句を言うべきでないと反省させられる.われわれも今日から何かができそうだという気にさせてくれる本書である.そして日々悪戦苦闘している人達にとっては,明日への戦略と新たな仕事へのエネルギーを与えてくれる.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.