書評
―大田仁史 編著―『地域リハビリテーション論』
池田 誠
1
1東京都立保健科学大学
pp.414
発行日 2004年5月15日
Published Date 2004/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102471
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本書は「地域リハビリテーション学」の改訂版として,タイトルを「地域リハビリテーション論」に,また表紙のデザインや判型(A4)も一新させた.表紙は,表に上向きの矢が途中で折れ曲がった写真で,裏に水面から杭が上に突き出た写真である.このイメージは,地域リハビリテーションとは地域に根ざした活動で,そこに内在する問題を解決するための活動にあるとの編著者らの気持ちの表れと思う.そのために視点を上を見据えながらも常に水面下に潜む見えにくい問題に据えておかねば全体を理解することはできないとの主張ではないだろうか.
編者の大田仁史先生は,地域リハビリテーションとは障害によって引き起こされる制限や制約に対して新たな自己変革を迫られた障害者,その家族を社会の構成員の一員として「共生への変革のプロセス」とする.さらに,リハビリテーションを「地域に始まって地域で終わる」とし,地域が障害者をトータルに包み込めるかが地域リハビリテーションのエビデンスであると主張している.これは少なくとも30年の長い経験から導き出した結論でもあろう.
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