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研究と報告
運動イメージ課題が脊髄前角細胞の興奮性に及ぼす影響—手の肢位の違いによる分析
The influence of exercise image task on excitability of spinal cord anterior horn cells:analysis by hand position difference
竹中 孝博
1,2
,
中角 祐治
3
Takahiro Takenaka
1,2
,
Yuji Nakazumi
3
1吉備国際大学大学院保健科学研究科保健科学専攻博士課程
2平成医療短期大学
3吉備国際大学保健科学研究科
1Graduate School of Health Sciences PhD course, Kibi International University Graduate School of Health Sciences
2Heisei College of Health Sciences
3Graduate School of Health Science, Kibi International University
キーワード:
運動イメージ
,
F/M振幅比
,
脊髄前角細胞
Keyword:
運動イメージ
,
F/M振幅比
,
脊髄前角細胞
pp.373-378
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201282
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要旨 【はじめに】運動イメージが脊髄前角細胞に及ぼす影響については,さまざまな方法を用いて研究がなされている.筆者らは,効率的に脊髄前角細胞の興奮性を高める方法を検討している.今回,運動をイメージする際の実際の手の肢位の違いで脊髄前角細胞の興奮が変化するのかを検証した.【対象】右利き健常者34名を対象に誘発筋電計を用いて短母指外転筋のF波を導出し,脊髄前角細胞の興奮性の指標とした.なお分析項目はF-wave amplitude/M-wave amplitude ratio(F/M振幅比)を用いた.【方法】前腕回外位で手掌面にボールを乗せた安静肢位の状態と,前腕回内位でボールの上に手を置く機能的肢位の状態との比較を行った.イメージはボールを握る等尺性収縮イメージを行った.【結果】前腕回外位で握るイメージは回外位安静と比較してF/M振幅比の差はないが,機能的肢位でのイメージは機能的肢位での安静と比較してF/M振幅比の増加に有意な差を認めた.【考察】機能的肢位でイメージすることでCM関節(carpometacarpal joint)周囲のメカノレセプターからの入力が脊髄レベルで変化し,さらに錐体路や錐体外路からの下行性入力が脊髄前角細胞や周囲の介在ニューロンに影響を及ぼしている可能性が考えられた.運動イメージの具体的な方法に関する研究は少なく,本研究の結果からただ単にイメージさせるだけでは不十分で,機能的な手の肢位を意識して行うことが効率的に脊髄前角細胞の興奮性を高めることができることが明らかとなった.
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