Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「パーフェクト・レボリューション」—身体障害・人格障害カップルの願いと生活を描く
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.89
発行日 2018年1月10日
Published Date 2018/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201207
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「パーフェクト・レボリューション」(監督/松本准平)は,車椅子生活を送る身体障害者の性へのアクセスを描いた作品として喧伝されていた.ところがその正体は,私たちの周囲に見出すことができる<市井の人格障害者>が醸し出す物語.
四肢などに障害のある身体障害者の性へのアクセスというテーマは,これまで何度か取り上げられている.1966年の「赤い天使」は孤高の一作として別格だが,性を楽しむ権利に象徴される生活の質をめぐる議論が活発化する1990年代以降は,「ウォーターダンス」,「マイ・レフトフット」,「ヴァージン・フライト」,「ナショナル7」,「オアシス」,「ジョゼと虎と魚たち」,「セッションズ」,「君と歩く世界」,「暗闇から手をのばせ」など,話題作が並ぶ.本作はここに現代の難題ともいえる「人格障害」を持ち込む.筆者にとっては,好感のもてる裏切りだ.
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