講座 10代のこころを診る—思春期相談のために・6
境界人格障害
齊藤 万比古
1
Kazuhiko SAITO
1
1国立精神・神経センター国府台病院精神科
pp.401-404
発行日 1993年6月15日
Published Date 1993/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900821
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1.はじめに
十代の青少年を児童思春期精神医学的な観点からみた時,現象的にも治療的にもとらえにくさを持った特異な一群の子どもたちに注目せざるをえない.それは以前から“境界的青年”あるいは“境界例”と呼ばれてきた子どもたちであるが,1980年米国精神医学会がその診断分類DSM-ⅢのAxis Ⅱ診断における「人格障害」の項目で初めて“境界人格障害”という用語を提唱して以来,境界人格障害と呼ぶことが一般的となっている.しかし,未だその概念は明確にされたとは言い難い面もあり,ここではDSM-Ⅲの改定版であるDSM-Ⅲ-Rにおける他の2,3の人格障害にまたがったやや広い概念として“境界人格障害”をイメージし,それを仮に“ボーダーライン”と呼んでおきたい.
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