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わが国は2014年2月に障害者権利条約(障害者の権利に関する条約)を批准しました.その中には,一般原則として「障害者の尊厳,自律及び自立の尊重,無差別,社会への完全かつ効果的な参加及び包容等」が謳われています.そして同条約の第4条1項(f)では,「(略)当該ユニバーサルデザインの製品,サービス,設備及び施設の利用可能性及び使用を促進すること.」(以下略)とされています.また同(h)では,「移動補助具,補装具及び支援機器(新たな機器を含む.)並びに他の形態の援助,支援サービス及び施設に関する情報であって,障害者にとって利用しやすいものを提供すること.」と定められ支援機器の開発と利活用の促進についても謳われています.加えて,第26条はリハビリテーションに関する条文となっており,その第3項には「締約国は,障害者のために設計された補装具及び支援機器であって,ハビリテーション及びリハビリテーションに関連するものの利用可能性,知識及び使用を促進する.」とされています.
ご存じのように,リハビリテーション医療においては補装具(AFOなど)による移動能力向上の効果は絶大です.また,在宅リハビリテーション(訪問リハビリテーション,通所リハビリテーションなど含んで)の現場では住宅改修とともに手すりをはじめ,車椅子やリフター,昇降機,各種コミュニケーション機器,自助具などの環境調整に支援機器の利活用は必要不可欠なものです.しかし,よく言われることですが,訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションを利用されている方で補装具の修正,再作成の必要性があっても,すでに治療用装具(医療保険)ではなく更生用装具という扱いにあり,その場合は市町村を窓口とした県機関の更生相談所判定を必要とします.また,コミュニケーション機器などは市町村独自の日常生活用具として扱われる場合も多くあります.このような状況の地域リハビリテーション活動のなかでは,支援機器の効果的な活用を含めて,その生活評価がされているとは言い難い現状があります.
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