Japanese
English
論述
橈骨遠位端骨折後の長母指伸筋腱断裂について
Rupture of the Extensor Pollicis Longus Tendon after Fracture of the Distal End of the Radius
黒沢 秀樹
1
,
荻野 利彦
1
,
三浪 明男
1
,
薄井 正道
2
,
三浪 三千男
3
,
岩崎 公彦
4
Hideki Kurosawa
1
1北海道大学医学部整形外科学教室
2札幌医科大学整形外科学教室
3北海道整形外科記念病院
4王子総合病院整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, School of Medicine, Hokkaido University
キーワード:
長母指伸筋腱
,
extensor pollicis longus tendon
,
橈骨遠位端骨折
,
fracture of the distal end of the radius
,
リスター結節
,
Lister tubercle
,
腱移行術
,
tendon transfer
Keyword:
長母指伸筋腱
,
extensor pollicis longus tendon
,
橈骨遠位端骨折
,
fracture of the distal end of the radius
,
リスター結節
,
Lister tubercle
,
腱移行術
,
tendon transfer
pp.241-248
発行日 1986年3月25日
Published Date 1986/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907358
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抄録:橈骨遠位端骨折に続発した長母指伸筋腱断裂19例の臨床像を分析し,腱断裂の発生機序について検討した.骨折から腱断裂までの期間は,転位のない骨折で平均4.5週,転位のある骨折で平均19週であり,転位のある骨折では腱断裂が遷延する傾向がみられた.橈骨遠位関節面から骨折線までの距離は,長母指伸筋腱断裂を合併しなかったColles骨折では平均12.1mmであった.腱断裂を合併した骨折では平均9.1mmであり,骨折線はLister結節により近い所を通っていた.以上の結果をもとに,橈骨遠位端骨折後の長母指伸筋腱断裂は,Lister結節の障害により発生するが,骨折後早期に断裂する場合は腱自体の主に圧挫などによる脆弱性が,骨折後長期間を経て断裂する場合は主に腱と骨折片や仮骨との機械的摩擦が関与している可能性を考察した.また,腱断裂に対して行った腱移行術の機能的予後も調査したが,全例に良好な結果が得られていた.
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