Japanese
English
研究と報告
リハビリテーション科患者の精神科的評価
Psychiatric Evaluation of Rehabilitation Patients.
青木 孝之
1
,
渡辺 俊之
1
,
保坂 隆
1
,
石田 暉
2
Takayuki Aoki
1
,
Toshiyuki Watanabe
1
,
Takashi Hosaka
1
,
Akira Ishida
2
1東海大学医学部精神科
2東海大学大磯病院リハビリテーション科
1Department of Psychiatry and Behavioral Science, Tokai University, School of Medicine
2Department of Rehabilitation Medicine, Tokai University Ooiso Hospital
キーワード:
リハビリテーション
,
うつ病
,
適応障害
,
心理テスト
,
DSM-Ⅲ-R
Keyword:
リハビリテーション
,
うつ病
,
適応障害
,
心理テスト
,
DSM-Ⅲ-R
pp.763-765
発行日 1994年9月10日
Published Date 1994/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107690
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はじめに
身体部分の欠損や変形,機能障害,慢性の身体疾患などを有した患者は,リハビリテーション医療の対象となる.その対象となる疾患はさまざまであるが,近年になり脳血管障害や頭部外傷など脳損傷に伴う精神症状を「器質性精神障害」として捉えた研究が多く報告されてきた3,6).しかしこれらの患者のなかには,症候学的に「内因性うつ病」と同じ臨床像を呈する例があることはよく知られ,脳損傷により内因性うつ病が誘発されるという報告も見られるようになった5,8).たとえばRobinson RG12,13)らによると,脳損傷により身体機能障害を生じた患者の約50%に抑うつ症状を認め,疾患別では,臨床的に脳血管障害で60%以上,頭部外傷で約20%において抑うつ状態を認めたとしている4,14).
一方,リハビリテーション医療の対象となる患者は身体像の喪失,身体機能の喪失,社会的立場の喪失といった,さまざまな意味での「対象喪失」を体験し,リハビリテーション患者のほとんどは,この対象喪失体験によるさまざまな情緒的反応を引き起こしているということは一般によく知られていることである11).これまで筆者らがコンサルテーション・リエゾン精神医学7)の実践を通して関わったリハビリテーション医療の場でも,さまざまな情諸問題を扱ってきた16).今回,筆者らはリハビリテーション医療の途上で患者に生じる情緒障害に着目し,実際に患者と面接を行い,身体機能喪失が患者の情緒状態に及ぼす影響について調査し,身体障害と精神障害との関係,および診断的問題点について検討した.
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