- 有料閲覧
- 文献概要
SF戯曲「R・U・R—ロッスムのユニバーサルロボット」が出版されたのは1920年である.そのなかで描かれた,働く能力はあるが考えることはできないもの,それが(旧)チェコ・スロバキアの作家カレル・チャペック(1890〜1938)の考えたロボットである.チェコ語で“賦役”を意味する”robota”が語源とされ,劇中では,人間に相応しくない仕事の肩代わりをさせ,人間を苦役から救うために製造されたロボットに,「心」を与えたことからロボットが団結し,不要な産物である人類の抹殺が開始される.100年近くも前に,この予言的作品が世に出たことは驚くべきことであるが,「ロボット」に「心」…….このキーワードで何か思い出すものはないだろうか.そう,人工知能(AI)搭載型ロボットである.
ロボットやAI搭載型ロボットは,原子力発電所や工場など危険な場所での作業だけでなく,リハビリテーション業界でも活躍が期待されている.癒し系ロボット,介護支援型ロボット,装着型ロボットなど枚挙に暇がない.かくいう当院でも,“高齢社会においてロボットの社会実装を行うためのロードマップを作成・提言する”ため,昨年8月,健康長寿支援ロボットセンターを開設した.医療・福祉関連施設,企業,海外からの見学が絶えず,そのニーズや人気を伺わせる.一方,昨年12月に,野村総合研究所は,独立行政法人・労働政策研究・研修機構が発表した“AIやロボットなどによる代替可能性が高い職業100”のデータを分析し,10〜20年後に国内労働人口の49%にあたる職業がAIやロボットで代替される可能性が高いと発表した.幸い医師やリハビリテーション関連職種は含まれていないが,30年後,40年後はどうだろうか.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.