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はじめに
介護保険制度の導入とともに2000年の診療報酬改定により開設された回復期リハビリテーション病棟は2015年7月には71,890床となり,病院病床数総数の4.6%を占めるに至った.回復期リハビリテーション病棟では脳血管障害,大腿骨頸部骨折,廃用症候群などを対象に,チームアプローチによる各専門職の協同による在宅での日常生活動作へ配慮した,病棟を中心としたリハビリテーションを提供してきた.2008年からは日常生活機能評価,2012年からは重症度・看護必要度,さらに2014年から重症度や看護必要度,在宅復帰率だけでなく病棟専従医師などの配置を要件とした体制強化加算が導入され,よりきめ細かい医学的管理が必要な対象患者の増加への対応と成果が求められており,その一環として栄養管理を考慮したリハビリテーションの重要性にも注目が集まっている.
2015年の回復期リハビリテーション病棟協会の報告1)によれば,入院までに要した期間は平均で発症後26.7日であるが14日以下が全体の22.6%を占めており,回復期リハビリテーション病棟の亜急性期化が進んでいる.患者の平均年齢は75.5歳で75歳以上の高齢患者が全体の62.2%を占めている.高齢者は疾病だけでなく独居や貧困,認知機能障害などさまざまな低栄養につながる要因をもつことが多く,回復期リハビリテーション病棟は低栄養を来しやすい病棟といえる2).
また原因疾患についても,脳血管系48.0%,整形外科系43.3%,廃用症候群7.5%,その他1.2%となっており,脳血管系と整形外科系がおおむね同じ割合になっているが,病棟ベースでみると脳血管系の患者が9割を占める病棟が6.3%,整形外科系の患者が9割を超える病棟は2.2%と病棟それぞれで疾患構成が多彩である.さらに入院時に,経鼻胃管チューブ4.8%,胃瘻1.4%,中心静脈カテーテル0.3%,が留置されており,一定の頻度で摂食・嚥下障害を有する患者が存在している1).このことから,脳卒中などによる摂食・嚥下障害や大腿骨頸部骨折の主な原因である転倒の背景に存在するサルコペニア,フレイル,ロコモティブシンドロームなどを有する患者への理解と対応が必要な病棟でもある.
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