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先日,家族でキッザニア東京に行ってきた.キッザニアはいろいろな仕事を体験することができる「こどもが主役の街」である.体験の際に親は隔離され,子供たちだけでさまざまなミッションを遂行していく.今の子供がなりたい職業をご存知だろうか.男の子が1位サッカー選手,2位科学者,3位は警察官とお医者さんで,女の子が1位パティシエ,2位お医者さん,3位は幼稚園・保育園の先生らしい.わが子もキッザニアで,サッカー選手体験や警察官体験などを楽しんでいた.これらは人気も高く,40分程度順番を待たなければならなかった.ただ,タイミングよく並ばずに体験できた漫画家やピザ屋さんも,実際にやってみると楽しかったようで子供の好奇心が広がっていたようだ.
昨年,研修医向けのレジナビに参加する機会を得た.驚いたのが,研修医への進路アンケート調査で,リハビリテーション科の希望が1%未満だったことである.私は同期入局者がほかにいなかったが,最近の入局者数は増えていたので実感が沸かなかった.会場でいろいろな研修医に会って話を聞いたが,そもそもリハビリテーション科自体の認識度が低いようにも感じた.学生時代の臨床実習はすべての科で行うわけだが,ある程度希望の科があるにしても好奇心は旺盛な時期である.ほぼ希望科ではないであろうリハビリテーション科で,学生にさまざまな体験をしてもらうと興味が沸きやすいのかもしれない.大学にいたころ,臨床実習でさまざまな体験実習を企画してみた.一側上下肢を固定(足関節は内反尖足ではない)する片麻痺体験スーツを装着して杖歩行をしてもらった.階段昇降ではどちらの足を出したらよいかなど理解しやすかったようだ.体験義足も興味深かったようで,膝継ぎ手の制御の難しさを感じていた.また,重心動揺計や歩行分析の体験も学生からの評判が高かった.重心動揺計で総軌跡長や面積を学生同士で競い合うと案外盛り上がっていた.自分が測定した結果を解析してから,患者さんの結果をみると所見の理解度が高かった.学生の一番人気は電気刺激療法の体験だった.通販番組に出てくるような低周波機器との違いを,周波数やパルス幅を変更して実際に刺激されてみると,学生の好奇心が広がっていた.実習後に学生とすれ違うと「電気の小林先生」と挨拶をされるようになった.体験実習の企画が難しい場合は,日本リハビリテーション医学会が案内している医学セミナーを紹介してもよいのではないか.毎年,数多くの医学生が参加しており,リハビリテーションニュースに過去の医学生セミナーの参加報告が掲載されている.各施設でさまざまな工夫がなされており,今の私も参加してみたいと感じてしまう.
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