Japanese
English
研究と報告
小児期受傷の外傷性脳損傷による高次脳機能障害
Higher cortical dysfunction in patients with pediatric traumatic brain injury.
野村 忠雄
1
,
柴田 孝
2
,
早川 俊秀
1
,
砂原 伸行
1
,
糸川 知加子
1
,
萩原 裕香里
1
Tadao Nomura
1
,
Takashi Shibata
2
,
Toshihide Hayakawa
1
,
Nobuyuki Sunahara
1
,
Chikako Itokawa
1
,
Yukari Hagiwara
1
1富山県高志リハビリテーション病院(富山県高次脳機能障害支援センター)
2済生会富山病院脳神経外科
1Department of Rehabilitation Medicine, Koshi Rehabilitation Hospital
2Department of Neurosurgery, Saiseikai Toyama Hospital
キーワード:
脳損傷
,
高次脳機能障害
,
小児期
,
復学
,
就労
Keyword:
脳損傷
,
高次脳機能障害
,
小児期
,
復学
,
就労
pp.577-583
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102101
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要旨:小児期に受傷した外傷性脳損傷患者における高次脳機能障害の特徴を明らかにするために,2008年1月~2009年3月に受診した外傷性脳損傷患者のうち,18歳未満で受傷した16例(小児期群)と,18歳以上の25例(成人期群)とを比較検討した.WAIS-Ⅲ(ウェクスラー成人知能検査)の動作性IQの平均値は小児期群が64.1で,成人期群の80.7と比較して有意に低かった(p<0.01).WMS-R(日本版ウェクスラー記憶検査)では「言語性記憶」,「視覚性記憶」,「一般的記憶」の領域での小児期群の値が低かったが,全体のパターンには違いはみられなかった.TMT(trail making test)では両群とも標準値より延長していたが,両群間には差はなかった.BADS(behavioral assessment of the dysexecutive syndrome)では小児期群が成人期群に比べ有意に悪かった.当センター来所から平均22か月後の調査では,小児期群での一般就労が3例(18.8%),成人期群では12例(46.2%)で,小児期群での一般就労の率は低かった.小児期の脳損傷例の支援では,早期からの医療と家庭・教育・職業機関との包括的連携体制の構築が重要である.
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