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実践講座 小児発達検査・第1回【新連載】
小児発達検査で何を見るか
Developmental test in pediatric patients.
橋本 圭司
1
Keiji Hashimoto
1
1国立成育医療研究センターリハビリテーション科/発達評価センター
1Division of Rehabilitation Medicine and Developmental Evaluation Center, National Center for Child Health and Development
pp.51-54
発行日 2014年1月10日
Published Date 2014/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110370
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はじめに
成長と発達は小児の特性である.逆に小児の定義は,成長発達を遂げる個体,とされている.成長と発達はしばしば一緒に使われるが,成長は英語でgrowth,身長,頭囲,胸囲などの増大,すなわち目で見えるディメンジョンの変化や,体重の増加のように量的,計測による変化として捉えられるのに対し,発達は英語ではdevelopmentで,生理的,機能的成熟を意味し,数量的に表すことはむしろ困難である.成長は組織や器官の細胞数の増加や増大など,ミクロのレベルも考えられ,発達はとくに脳や神経の成長に伴う精神,運動機能の発達に関して用いられることが多い1).
人の発達における個人差を,適切なアセンスメントツールを用いて数値化して表現することは,これまで,どちらかといえば批判的に論じられることが多かった.確かに,人間の多様な個性を少数の数字に要約してしまうことは,原理的に不可能だとも考えられる.また,それによって個人の社会的処遇が決められてしまうことには,懸念が生じるのも当然である.しかしながら,たとえば発達障害に伴う不運・不幸に見舞われている人々を援助することに合意を形成していくためには,時に数値化された証拠が必要な場面がある2).
一人一人が抱えるそれぞれ異なった問題に,きめ細かく対応していくためにも,複数の数値を用いた判断が必要になる.本実践講座では,リハビリテーション関連職種が知っておくべき小児発達検査について,次回以降,専門職種ごとに解説する.今回はその序論である
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