書評
関 啓子 著「「話せない」と言えるまで―言語聴覚士を襲った高次脳機能障害」
辻下 守弘
1
1甲南女子大学・看護リハビリテーション学部理学療法学科
pp.1073
発行日 2013年11月10日
Published Date 2013/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110318
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医療者プロフェッショナルの到達点は,患者の立場を真に理解して治療やケアが行えることであろう.医療者の立場として,疾患の病態は説明できるが,病気や障害のつらさを語ることは難しい.それを補う唯一の方法は,患者側の立場となった人々の体験談から真摯に学ぶことである.
まさにプロフェッショナルを目指す医療者にとって待ち望んだ絶好の本が出版された.本書は,言語聴覚士である著者が脳卒中となって倒れ,その後片麻痺を克服して復職し,さらに新しい人生を獲得されるまでの物語がつづられている.ただし,本書は体験に基づいた体験記という範疇を超えて,高次脳機能障害のテキストであるとともに,自ら被験者となって取り組まれた臨床研究をまとめた学術書でもある.
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