Japanese
English
特集 切断と義肢―最新の臨床
身体機能と社会生活
Physical condition and community for lower-limb-amputees.
長倉 裕二
1
Yuji Nagakura
1
1熊本保健科学大学保健科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
1Kumamoto Health Science University
キーワード:
下肢切断
,
身体機能
,
機能向上
Keyword:
下肢切断
,
身体機能
,
機能向上
pp.531-536
発行日 2013年6月10日
Published Date 2013/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110139
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切断者のスポーツ
近年,下肢切断者の身体能力は健常者と同等またはそれ以上のパフォーマンスを獲得するところまで達してきている.これは義足部品の機能が向上したことも大きな要因ではあるがそれ以上に切断者自身のニーズに変化が起こってきていることが挙げられる.以前は切断者の多くは,日常生活で義足を他人に見られることを好ましく思っていなかったが,最近では義足を見せるようにして生活している切断者も少なくない.メディアで切断者のパフォーマンスが取り上げられ,従来は健常者に近づくことであった切断者の目標は健常アスリートとは違い,義足の機能や能力を最大限活用したパフォーマンスを遂行することを目的としたゴールに変わってきている.オリンピックとともに開催されるパラリンピック競技種目はパラリンピックのみでの競技として脚光を浴びるようになり,その後その目標も一般健常者から,健常アスリートになってきている.そしてパラリンピック選手がオリンピックの舞台に立つようになってこれが現実のものと捉われるようになってきた.
一昔前までの切断者のスポーツは義足を装着してスポーツ参加するのではなく,義足装着なしでの車いす競技や健側による片脚立ち,片脚跳びでのスポーツ参加が多かった.近年では義足ソケット形状の改良やソケット素材の開発,ライナーなどの懸垂能力の向上によって義足適合が飛躍的に改善され,切断者の潜在能力を引き出し,パフォーマンス向上に寄与している.
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