巻頭言
回復期リハビリテーション病
菅原 英和
1
1初台リハビリテーション病院
pp.105
発行日 2013年2月10日
Published Date 2013/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110010
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2011年度に回復期リハビリテーション病棟協会が発行した調査報告書のなかに衝撃的なデータがある.回復期リハビリテーション病棟100床当たりのリハビリテーション専門医もしくは認定臨床医数,0人:34.4%,0.5人未満:18.9%,1.0人未満:21.4%,2.0人未満:17.4,2.0人以上:7.9%.なんと回復期リハビリテーション病棟の3分の1以上がリハビリテーション専門医不在の病院であり,1つの病棟に1名以上のリハビリテーション専門医がいる確率はわずか8%にも満たないとの内容である.常識的には「○△科病棟」という名が付いていれば「○△科」の専門医が最低1名は勤務していると誰もが想像・期待するであろう.リハビリテーション科の看板を掲げていながらリハビリテーション専門医がこれだけ不足している回復期リハビリテーションの現状は異常であり,酷な言い方をすれば患者の期待を裏切っているとも言える.
現在全国のリハビリテーション専門医数は1,854名とされ,毎年70名前後増加している.そのうち回復期リハビリテーションに従事するリハビリテーション専門医は推定300名程度である.仮に全国6万床の回復期リハビリテーションの各病棟に1名のリハビリテーション専門医を配属すると,病棟数と同じ1,471名が必要となり,1,100名余りが不足しているという計算になる.この10年間に爆発的に増加した回復期リハビリテーションの病床に対してリハビリテーション専門医の供給がまったく追い付いていないのである.
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