今月の主題 知っておきたいリハビリテーションの技術
心筋梗塞のリハビリテーション
回復期のリハビリテーション
戸嶋 裕徳
1
1久留米大第3内科
pp.1088-1089
発行日 1976年8月10日
Published Date 1976/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206692
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心筋梗塞の回復期といっても,その時期について必ずしも明確な定義はないが,合併症のない平均的な心筋梗塞の場合,木村登教授によって提唱された積極的運動負荷療法では,平均的には発症後第4週初めからマスターの2階段を用いたリハビリを開始している1),し,最近は欧米でも,発症後3週間の入院の後自宅に帰らせ,第3期回復期の治療に移行させている2)ので,一応この時期から回復期と呼んでさしつかえないと思われる.重症例とか,合併症を併発したものではその時期が遅れることは当然であり,個々の症例に応じてリハビリテーションのプログラムを決定すべきであることはいうまでもないが,合併症のない心筋梗塞患者を長期間にわたって安静臥床をとらせることは,百害あって一利もないので,徒らに安静を強要してはならない.欧米では医療費が高いこともあって3週間で退院させ,自宅において回復期のリハビリを行うのが一般的になっているが,この時期はなお慎重なチェックが必要なので,少なくともマスターの負荷試験を応用してシングル量が可能になるまでは,入院させてリハビリさせた方がよいとわれわれは考えている.
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