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はじめに
技術は,2つの要素からなる.一つは,「(狭義の)技術そのもの」であり,もう一つは,「技術システム」である1).後者では,個々の技術をどのように組み合わせ,どのような環境の下で提供するのか,どのようにマネジメントするのかが問われる.
例えば,早期リハビリテーションに必要な知識と技術を持ったリハビリテーション医がいても,それだけでは不十分である.早期リハビリテーションに取り組める理学療法士や作業療法士などが参加するリハビリテーションチームが必要だからである.が,それでも十分ではない.急性期の他科の主治医からリハビリテーションチームへの紹介が早期になされるシステムがなければ,患者が早期からリハビリテーションを受けることはできない.さらに,紹介を早期に受けたとしても,リハビリテーション病棟のベッド管理がうまくいっておらず,転院待ちの全介助患者が滞留していて新患を受ける空きベッドがなければ,やはりリハビリテーションチームの技術力を早期から発揮することは難しい.つまり,リハビリテーション医療の技術を患者に適応しその力を最大限に発揮するためには,個々の技術だけでなく,その力を発揮できる「技術システム」を構築し,それをマネジメントする力が不可欠なのである.
他にもリハビリテーションにおいて,「技術システム」の一つであるチームのマネジメントが,とりわけ重要な理由がある.対象が一つの臓器や疾患でなく,障害を持つ人間であること,対象となる患者が合併症・障害・社会や環境に起因する多くの問題を抱えていること,これらに対応するには多くの職種からなるチームによるアプローチの必要性が高いからである.
小論では,まず脳卒中リハビリテーション病棟などマネジメントされたチーム・ケアの効果を示す研究のevidenceを示す.そのうえで多職種によるケアの4つのモデルを紹介し,それらに共通するチーム・マネジメントの質に影響する4要素について考察する.
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