巻頭言
新たな「アジア太平洋障害者の十年」を
佐藤 久夫
1
1日本社会事業大学
pp.297
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109730
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障害者の「完全参加と平等」を目標にした「アジア太平洋障害者の十年」が本年で終了する.この10年間に,多くの国で障害者に関わる法律の制定・改定,国内調整委員会の発足,「障害者の日」など国民啓発活動の発展,障害者実態調査の実施や国勢調査への障害項目の組み込み,補装具の支給,貧困障害者への手当の支給,CBR(地域に根ざしたリハビリテーション)の普及,障害者作業所の発展,雇用率制度の制定,障害当事者団体や家族団体の結成,障害者の発言機会の増加,アジア太平洋レベルでのGO/NGOのネットワークの広がりなどの成果がみられた.
EU統合の動きが早くからあったヨーロッパ地域を除けば,従来の障害者問題への国際的取り組みは国連を中心とする世界レベルのものに限られてきた.発展途上国の多い地域での取り組みはアジア太平洋地域が初めてであり,これはアフリカ障害者の十年(2000-2009年)やアラブ障害者の十年(2003-2012年予定)にも影響している.「グローバルな目標が地域の協力によって追求される時代」の始まりである.
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