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実践講座 障害児の医療と教育
3.支援する医療,支援を活かす教育―精神発達障害をめぐる医療と教育の関係を再考する
How teachers make the best use of medical support?: Needs for a new approach to children with developmental disorders.
小林 潤一郎
1
Junichiro Kobayashi
1
1明治学院大学文学部心理学科
1Department of Psychology, Faculty of Literature, Meiji Gakuin University
キーワード:
精神発達障害
,
医療
,
特別支援教育
,
自閉症
,
精神科校医
Keyword:
精神発達障害
,
医療
,
特別支援教育
,
自閉症
,
精神科校医
pp.243-247
発行日 2002年3月10日
Published Date 2002/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109713
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はじめに
障害のある子どもの医療と教育について,その連携の重要性が繰り返し指摘されている.それは,そうした子どもや親のニーズに応えようという真摯な取り組みの歴史でもある.近年,運動発達障害に関しては,医療を教育に活用するための制度1,2)が広まりつつあるが,精神遅滞や広汎性発達障害(自閉症,アスペルガー症候群など)といった精神発達障害に関しては,未だその道筋が示されていない.
医療も教育も同じ子ども達を対象とし,同じように彼らの健やかな成長と豊かな人生を願っているが,医療の多くは医療機関という場で,疾病の治療,健康の維持・増進を目的に営まれ,教育は学校という場で,彼らの力を引き出し,人格を育むことを目的に営まれており,それぞれ独立した組織,手立てによって成り立っている.医療機関で教育を行う場合でも教師が手がけるのは教育であって医療ではないし,学校で医療を行う場合も医師らが手がけるのは医療であって教育ではない.しかし,障害のある子どもの医療と教育はそれぞれ複合領域であり,医療は教育を知らずして成り立たず,教育も医療を抜きには成り立たない.
本稿では,このような視点に立ち,精神発達障害の医療と教育について,その課題と展望を論じる.
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