Japanese
English
講座 骨粗鬆症
3.原発性骨粗鬆症の治療―薬物療法を中心に
Treatment of primary osteoporosis.
森 諭史
1
Satoshi Mori
1
1香川医科大学整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Kagawa Medical University
キーワード:
骨粗鬆症
,
薬物治療
,
運動療法
,
食事療法
,
骨折予防
Keyword:
骨粗鬆症
,
薬物治療
,
運動療法
,
食事療法
,
骨折予防
pp.237-242
発行日 2002年3月10日
Published Date 2002/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109712
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はじめに
骨粗鬆症は骨量が減少し,骨の微細構造が破綻し,骨強度が低下し,骨折の危険性が高まった状態と定義される.その治療は,成長期の骨量増加から脆弱性骨折の治療に至るまで幅広い.
人間は誕生後骨格の成長とともに骨量を増加させ,20~30歳代に一生の内でもっとも高いピークボーンマスに達する(図1).ピーークボーンマス量,時期は個人により異なるが,加齢骨減少の起点となる重要なターニングポイントである.ピークボーンマス達成後は,骨の代謝は骨吸収と形成がカップリングする骨の入れ換え(骨リモデリング)が主体となる.
先行する骨吸収が骨形成へ連結しないアンカップリングが起きると骨量は減少するが,一旦減少した骨量を劇的に回復させることは困難となる.したがって,骨粗鬆症の治療において,1)成長期になるべく高いピークボーンマスを達成すること,2)成長期に蓄積した骨量を人生の後半でなるべく減少させないこと,すなわち骨粗鬆症を予防することがもっとも効果的な治療戦略となる.
骨粗鬆症は病因が多岐にわたり,発症や増悪には多くの危険因子が関与する11),危険因子には性,人種などの遺伝因子や,早期閉経,人工閉経などのホルモン因子,加齢因子などの調節できない因子と,栄養,運動,体重などのように日常生活で調節できる因子がある(図2).
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