Japanese
English
症例報告
身体と壁面の接触課題によって姿勢が改善した半側空間無視の1症例
A case of unilatelal spatial neglect that improved of posture by the task of touch to wall.
大塚 忍
1
,
森岡 周
2
,
宮本 省三
2
Shinobu Otsuka
1
,
Shu Morioka
2
,
Shozo Miyamoto
2
1愛宕病院リハビリテーション科
2高知医療学院理学療法学科
1Department of Rehabilitation, Atago Hosptal
2Department of Physical Therapy, Kochi School of Allied Health and Medical Professions
キーワード:
半側空間無視
,
脳卒中片麻痺
,
壁面
Keyword:
半側空間無視
,
脳卒中片麻痺
,
壁面
pp.1141-1145
発行日 2001年12月10日
Published Date 2001/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109645
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はじめに
半側空間無視は病巣に対して反対の対象を無視する症状であり,右半球損傷に伴う高次脳機能障害としては高頻度に認められ,臨床においてもしばしば遭遇する機会がある.なかでも右半球の広範囲な損傷により慢性期まで無視が残存するような症例では,半側空間無視そのものが円滑なリハビリテーション遂行の阻害因子となる.
半側空間無視を呈する片麻痺患者に対するリハビリテーションとしては,無視サイドからの刺激を取り入れた理学療法や作業療法が中心であり,実際の日常生活動作を考慮したもの1)がほとんどである.一方,Robertsonら2)による聴覚的刺激と上肢運動の併用や,網本3)による電気刺激法といったように,非視覚系のモダリティを利用しながら無視症状自体を改善させる試みも行われている.これらは,半側空間無視が五感による選択肢の多い感覚モダリティからの入力や,運動や言語との協調において空間的偏りが生じる病態である4)という特徴を生かした治療法であると言える.また,閉眼下での運動探索課題も考案5,6)され,視覚入力以外の感覚モダリティを利用する方法も模索されている.
今回われわれは,非視覚系のモダリティを利用した方法として,閉眼下にて身体を垂直壁面に接触させる方法を,半側空間無視を呈した脳卒中片麻痺の症例に試み,良好な結果を得たので報告する.
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