Japanese
English
特集 失行・失認
半側空間無視の本態とリハビリテーションの考え方
Mechanisms Underlying Hemi-neglect and Its Implications for Rehabilitation.
鎌倉 矩子
1
Noriko Kamakura
1
1東京都立医療技術短期大学
1Tokyo Metropolitan College of Allied Health Scienses.
キーワード:
半側空間無視
,
半側無視
,
リハビリテーション
Keyword:
半側空間無視
,
半側無視
,
リハビリテーション
pp.839-845
発行日 1986年11月10日
Published Date 1986/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105695
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はじめに
半側空間無視はさまざまな名称で呼ばれる.unilateral spatial agnosia(一側性空間失認),unilateral neglect(一側性無視),hemi-neglect(半側無視),hemi-inattention(半側不注意)等々.これらの呼称は,それぞれを用いる人の考えを反映してもいる.失認なのか,無視なのか,それともあえて不注意と呼ぶべきか? 半側(hemi-)なのか,それとも一側性(uni-lateral)というべきか? この名称の定まらなさは,実は正体の解らなさの反映でもある.
リハビリテーション医学が高次脳機能障害を手掛けるようになって以来,半側空間無視は,対策を迫られ続けた課題の1つであった.右半球損傷に多いこの症状は,左脳半球損傷に多い失語と並んで,最も頻度の高い高次脳機能障害としての位置を占めてきたからである.
左側を見落とす患者に左を積極的に見るよう訓練するというのは,誰もが最初に考えつく方法である9,22,32).しかし果してそれだけでいいのだろうか?
半側空間無視はなぜ起こるのか? それが解ればアプローチの方法はもっと合理的になるはずである.
残念ながら半側空間無視発生のメカニズムは未だはっきりとは解っていない.しかしいくつかの事実が,いくつかの仮説を誕生させるほどにはなっている.以下にこうした流れを筆者なりにまとめてみることにしたい.
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