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はじめに
クオリティオブライフ(以下,QOL)は,医療の究極的ゴールとして総論では賛同を得ているものの,定義のあいまいさ,多義性,主観評価の定量化における信頼性と妥当性の問題などの理由で,医学界では懐疑の眼で見られていることも事実である.
一方,近年,特に欧米諸国の医学の領域において,QOLを注意深く定義し,QOLを測定する尺度を科学的に評価したうえで,疾患あるいは医療のアウトカム(転帰)として活用しようという動きが盛んになってきた.本稿では,QOL研究に新しい流れを作ったアウトカム研究(outcomes research)の近年における動向について述べ,さらに,医療のアウトカムとしてのQOLの概念,および現在広く用いられている評価尺度であるSF-36(MOS Short-Form 36-Item Health Survey)について述べることとする.
リハビリテーションの分野は,身体機能や日常生活機能を,生命予後と同等あるいはそれよりも重要なアウトカムとして古くからみなしてきたこともあり,ADLのような機能評価指標を他分野に先駆けていち早く取り入れてきた.(ただし,ADLとQOLの相違点を明確にしておく必要がある.ADLはあくまで第三者の観察者が機能評価をする点,また主に身体機能を中心とした評価である点が,健康関連QOLと異なる点である.後述)また,「健康余命」(active life expectancy)のような概念1)がリハビリテーションの疫学やヘルス・サービスの研究等の分野にも近年活用されるようになっている.この意味でリハビリテーション分野は,近代的なアウトカム研究を先取りしてきた分野とも言え,QOLのような概念に対しても理解が得られやすく導入が期待されるところである.
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