Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」―落ちゆく時代の象徴的作品
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.479
発行日 2001年5月10日
Published Date 2001/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109497
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今年の正月興行における「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(監督/ラース・フォン・トリアー)のヒットは,ひとつの事件であった.興行界の人たちは,なんでこんなのがヒットするんだと首を傾げる.2月号本欄で取り上げた「ミフネ」と同じく,デンマークのドグマ95系の作品なので,ミュージカルシーン以外は,手持ちのカメラと自然光による撮影だ.当然ながら画面は暗い.一部の映画愛好家ならともかく,広く大衆の共感を呼ぶような作りではない.しかし,結果として若者を中心に圧倒的な支持を得た.なんと若者たちは映画が終わっても席を立つことができずボロボロ泣いているのだ.
1960年代のアメリカ.チェコ出身のセルマ(ビョーク)は遺伝性の病で視力を失いつつある.セルマにとって問題なのは自分のことより同じ病を抱えている息子に早く手術を受けさせることだ.息子の失明だけはなんとか避けたい.セルマは流し台を作る工場で働くだけでなく内職までして手術費用をつくりだす.
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