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講座 遺伝子治療―21世紀に消える?リハビリテーション関連疾患
5.先天性代謝異常症
Inherited metabolic disease.
衛藤 義勝
1,2
Yoshikatsu Eto
1,2
1東京慈恵会医科大学小児科
2DNA医学研究所
1Department of Pediatrics, Jikei University School of Medicine
キーワード:
先天性代謝異常症
,
遺伝子治療
,
細胞治療
Keyword:
先天性代謝異常症
,
遺伝子治療
,
細胞治療
pp.431-436
発行日 2001年5月10日
Published Date 2001/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109488
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はじめに
21世紀となり,医療,科学の進歩には,恐らく想像もできない世界が今後広がっていくことが予想される.
先天性代謝異常症は遺伝子病であるが,1つの遺伝子の塩基の欠損あるいは置換などで発症する.現在,欠損している遺伝子を外来性に補うことにより,先天性代謝異常症の動物モデルでは遺伝子治療に成功している.
ただし,現在の遺伝子治療は単に細胞の核の染色体中にat randomに組み込まれているだけで,本当に障害のある遺伝子変異部位に入っているわけではない.したがって,組み込まれた遺伝子は不安定であり,発現効率,発現時間も短い.これからの遺伝子治療は遺伝子の障害部位に組み込む,いわゆるhomologous recombinationの手法を用いて,本当の意味での遺伝子治療の手法の開発が必要である.
表1に現在行われている遺伝子治療の対象疾患とプロトコール数を示した.遺伝子治療の方法としてin vivoとex vivoの方法がある.ex vivoは,患者の骨髄細胞,肝細胞,皮膚細胞などに遺伝子を導入し,患者に戻す.in vivoの方法は,患者の静脈内,腫瘍内に直接注入する.ヒト遺伝子治療の約70%はex vivoの方法がとられている.
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