Japanese
English
特集 排尿・排便障害とリハビリテーション
神経変性疾患
Disturbance of Micturition and Defecation in Degenerative Neurological Disorders.
服部 孝道
1
,
榊原 隆次
1
Takamichi Hattori
1
,
Ryuji Sakakibara
1
1千葉大学医学部神経内科
1Neurology Department, Chiba University
キーワード:
排尿障害
,
排便障害
,
パーキンソン病
,
脊髄小脳変性症
,
多系統萎縮症(MSA)
Keyword:
排尿障害
,
排便障害
,
パーキンソン病
,
脊髄小脳変性症
,
多系統萎縮症(MSA)
pp.929-934
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109331
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はじめに
脊髄小脳変性症,パーキンソン病等の神経変性疾患では,四肢の運動障害,感覚異常等と共に,自律神経障害がみられることが少なくない.自律神経障害の中で高頻度にみられるものに排便障害があり,便秘が多い.排尿障害も高頻度にみられ,大きく頻尿・尿失禁などの蓄尿障害と,排尿困難,尿閉などの排出障害とに分けられる.
排尿・排便障害は,患者および介護者にとって非常に困るものであり,activities of daily living(ADL),quality of life(QOL)を害する一因である.しかし,軽度の便秘は健常人にも少なからず認められ,神経障害以外にも多くの原因が関与しているためか,従来詳細な検討は非常に乏しい.頻尿・尿失禁は高齢者にも少なからずみられることから,従来,単に年齢のためと考えられがちであった.しかし,筆者らの検討では,高齢者の排尿障害の原因は多発性脳梗塞によることが少なくないようである4).
本稿では,代表的な神経変性疾患としてパーキンソン病,および脊髄小脳変性症の中で自律神経障害を来しやすい多系統萎縮症multiple system atrophy(MSA)の排尿・排便障害について,正常の機能,機能障害とその治療の順に述べる.
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