書評
吉村不二夫 著―医学者のみた福祉経済学―共生社会への道
大橋 正洋
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター
pp.476
発行日 2000年5月10日
Published Date 2000/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109233
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著者は,内分泌学と解剖学を専攻する基礎医学者である.医科大学を退任後,老人福祉に関心を持ち,老人家庭の調査活動などを続けた.その過程で,経済学理論が福祉と深い関係を持つことに気づいた.
老人の在宅介護は,家族の無償サービスによるところが大きいが,核家族化でそれが困難になりつつある.するとヘルパーに重労働を強いることになり,国民の経済的負担も大きくなる.施設介護のほうが,経済的に安く手間も少なくてすむ.しかし現在の老人施設は,個室が少なく設備が貧弱である.中産階級の老人にとって,自分の送ってきた生活の質を反映するような施設はあまりにも少ない.
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