Japanese
English
特集 不全頸髄損傷とリハビリテーション
歩行障害と運動療法
Therapeutic Exercise for Gait Disturbance in Incomplete Tetraplegia.
豊永 敏宏
1
Toshihiro Toyonaga
1
1九州労災病院リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Kyushu Rosai Hospital
キーワード:
不全頸髄損傷
,
歩行障害
,
運動療法
,
痙縮
Keyword:
不全頸髄損傷
,
歩行障害
,
運動療法
,
痙縮
pp.329-335
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109203
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はじめに
不全頸髄損傷による四肢の不全麻痺は,回復過程の障害病態像が種々の様相を呈する.それは外傷時の傷害のレベルや範囲,あるいは脊髄横断面における損傷程度はもとより,頭部外傷など外傷時合併症に加えて,褥瘡などの二次的合併症の発生,あるいは高齢者が多いため既存の合併疾患を有するなど,幾多の要因が関与しているからである.さらに起立・歩行訓練が始まる時期に,障害部位・程度に応じて腱反射充進・痙縮など錐体路症状の出現や,頸髄高位(C3/4)の障害による肩胛帯・肩など上肢の痛みやシビレが出現したり,手指の巧緻障害あるいは膀胱直腸障害の残存により,たとえ歩行が可能となっても,ADLの障害となるケースは多い.
本稿では最初に,不全頸髄損傷の歩行能力獲得までのリハビリテーションについて,歩行の予後や阻害因子の文献的考察を含めて概括する.さらに当科における症例を紹介し,障害を損傷型別(中心型,前部型,ブラウン・セカール型=B-S型,後部型)に分けて,各々の歩行障害に対する運動療法や補助手段の工夫について述べ,最後に歩行獲得後の問題点についても触れる.
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