Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ベーコンの障害観―『随想集』の「身体的欠陥について」
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.987
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109088
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フランシス・ベーコン(1561~1626)は,シェイクスピアやガリレと同時代の人物であるが,彼が1612年に刊行した『随想集』(渡辺義雄訳,岩波文庫)第2版における「身体的欠陥について」には,この当代随一の知識人の障害観が示されている.
「身体的欠陥について」の章で,ベーコンはまず,「身体と心との間には共感があり,自然は一方において過ちを犯す場合には,他方でもあえてそうする」と,身体障害が心に及ぼす影響を強調して,「身体的欠陥を(中略),〔望ましい〕結果を生じないことはめったにない原因と見なすのは,よいことである」と,障害にはそれなりの効用もあるという考え方を示す.
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