一頁講座 話題の疾患
ポリオ後症候群(Post-polio syndrome)
長嶋 淑子
1
1手稲渓仁会病院神経内科
キーワード:
ポリオ(小児麻痺)
,
遅発性筋萎縮
,
筋痛
,
全国症例調査
Keyword:
ポリオ(小児麻痺)
,
遅発性筋萎縮
,
筋痛
,
全国症例調査
pp.973-974
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109083
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疾患概念と歴史
ポリオ後症候群(PPS)とは,乳幼児期にポリオ(小児麻痺)に罹患し,一旦十分に機能回復して通常の社会生活を送っていた成人に,長年月後現れる運動・感覚・呼吸など種々の機能障害の総称である.欧米では19世紀から知られていたが,1950年代ポリオの大流行した米国で1980年以降,既存の運動障害に加え非罹患肢にまで新たな障害を呈するポリオ既往者が急増した.早急な実態調査の結果,運動・感覚系のみならず,発声・言語障害,易疲労性,息切れ・睡眠中無呼吸,意欲低下やうつ状態等,多彩な病像の見られることが判明し,広範な心身の機能障害を伴う病態と認識されている1).
本邦では1990年,筆者の4例報告2)を機に厚生省研究班の一課題として初の全国症例調査を実施し,相当数の患者の存在を確認した3).その後も症例が追加され,1997年春のポリオウイルス抗体保有率に関する報道以来,道内および全国のポリオ既往者から本症について多数の照会がある4).全国調査から10年を経て,厚生省は「障害保健福祉総合研究事業」の一環としてPPSの実態調査の再開を計画し,臨床・疫学的関心が高まってきた疾患と言える.
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