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はじめに
わが国における訪問看護の歴史は1983年の老人保健法にて保健婦の訪問する訪問指導事業の制定に遡るが,1984年からは訪問看護が診療報酬の対象となったことが始まりと言えよう.
訪問看護は,何らかの病気や障害を持つ人々に,看護の有資格者が,それらの人々の生活の場に出向いて行う専門的サービスとして医療保険上に位置づけられたのである.さらに1992年4月には,老人訪問看護制度が創設され,1994年10月から対象者の年齢を問わず訪問看護が提供できるようになった.現在は病院・診療所から,また訪問看護ステーションからの訪問看護が可能となっている.
訪問看護ステーションは1993年には300か所程度であったが,毎年その数を増やし,1996年には1,374か所,1998年5月には2,720か所へと推移し,なお新設のステーションが急増中である(表1).それでもゴールドプラン(高齢者保健福祉推進十か年戦略)にて掲げられた5,000か所の整備目標には,まだ到達していない.しかし,訪問延べ件数は増加の一途をたどり,1996年には4,269,735件に及び,在宅ケアにおける医療サービスの中心を担っていると言ってよい状況である.
対象者により医療的ハイテクケア,ターミナルケア,精神障害ケア,リハビリテーション的ケア,身体介護的ケアに分類される傾向にあるが,訪問看護統計調査によれば,その業務内容は23種に分類され,上位から病状観察,本人の療養指導,日常生活の介助,家族の介護指導となり,リハビリテーションは次の上位から5番目にランクされている(表2).すなわち訪問看護は在宅障害者の自立支援・機能維持に大きく係わっていると言えるのである.しかし,リハビリテーションの専門職である理学療法士(PT),作業療法士(OT)の訪問看護ステーションにおける活動は活発であるとは言えない.
1997年6月の職種別にみた従事者数では,総数12,357人中,PT465人,OT183人であり,常勤者では6,336人中,PT76人,OT35人となり,常勤換算でPT150.2人,OT74.1人となっている.事業者数が2,048か所であり,1事業者の常勤換算でPTは0.073人,OTは0.036人でしかない.訪問看護ステーション14か所にPT1人,28か所にOT1人ということになる(表3).したがって訪問活動における主体は看護婦であり,看護婦がリハビリテーション的ケアを担っているのが現実と言える.
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