「女刑事RIKO」，「ジューンブライド」―80年代世代が抱える困難を照射

　一日に10人ほどしかお客さんが入らない映画がある．私が見た回は，私を含めてたった2人．旧知の間柄である劇場の社員は，とにかくひどいからこんな映画みるんじゃないと言ってくる始末．こちらとしては，匂うものを感じたので劇場へ足を運んだのだが．

　作品名は「女刑事RIKO」（監督/井坂聡）．タイトルからして一体誰が見る映画なのか．万人向きではないし，いまどきの若者向きでもない，もちろん子ども向きであるはずはない．ターゲットというものがない作品なのだ．